司法書士にはどんなキャリアパスがある?一般的な4つのキャリアパスを紹介
司法書士試験に合格された方が今後のキャリアをスタートさせる際、複数の選択肢から自身が希望するキャリアにあった選択肢を選ぶことが重要です。
司法書士事務所に勤務して実務を身に付ける、一般企業の法務部に勤務する、さらには独立開業の選択肢もあるため、それぞれの選択肢のメリットや注意点を理解する必要があります。
今回は、司法書士が選べる一般的な4つのキャリアパスについて、それぞれの特徴やメリットを詳しく紹介します。自分に合った道を見つけ、司法書士としてのキャリアを充実させるヒントにしてください。
1.司法書士試験合格者の就職先
前段として、司法書士試験合格者が働く際に選ぶキャリアとして、どんな就職先が考えられるのでしょうか。一般的には、以下に挙げた2つの就職先から選ぶことになるでしょう。
- 司法書士事務所
- 一般企業の法務部や他士業事務所(合同事務所含む)
以下で、それぞれの就職先で働くメリット・デメリットについてまとめましたので、就職先を決める際の参考にしてみてください。
1-1. 司法書士事務所
最も一般的な就職先として、司法書士事務所があります。個人経営から法人化された中規模・大規模な事務所までさまざまな形態が存在し、事務所の規模や専門分野によって取り扱う案件も異なります。小規模な事務所では、一般的な事務作業から司法書士業務までオールマイティーに業務をこなすことになります。一方、大規模な事務所ほど、案件の分業が進んでいることが多く、特定の分野や作業に限定して業務を行うことが一般的です。
司法書士事務所で働くメリット
- 幅広く専門性の高い司法書士業務の経験を積める
- 多種多様なクライアントに対応する力がつく
- 事務所内でのキャリアアップを目指し、将来的にパートナーとして事務所経営に関われる
- 独立を見据えた事務所運営や実務経験が得られる
司法書士事務所で働くデメリット
- 事務所の規模によっては業務が偏る可能性がある
- 大規模事務所では業務分担が細かく、全般的なスキルが身につきにくい場合もある
1-2. 一般企業の法務部や他士業事務所
司法書士試験に向けて学習・習得した知識を活かして、一般企業の法務部や他士業事務所で働くことも可能です。特に商業登記や契約関連の法務が多い企業では、司法書士試験で得た専門知識が重宝されます。また、会社法やコーポレートガバナンスに関する知識も役立つため、企業法務の分野でキャリアを積むことができます。
一般企業の法務部や他士業事務所で働くメリット
- 社内の企業法務全般に関与でき、実践的な企業法務のキャリアを積むことができる
- 安定した収入と福利厚生が得られる
- 企業内部でのキャリアアップや、法務全般の知識が習得できる
- 専門分野の垣根を越えた経験を得ることができる
一般企業の法務部や他士業事務所で働くデメリット
- 募集自体が限られる
- 司法書士業務全般の実務経験が少なくなる、または自分の希望する専門分野に集中しにくい場合がある
- 司法書士の専門知識よりも法務全般の知識が求められ、知識の活用範囲が限定されることもある
- 内部の調整や連携に多くの時間を費やす可能性がある
- 補助的な役割に過ぎず、専門性を発揮しにくい場合がある
ここで1点注意しておくと、厳密には「司法書士試験合格者=司法書士資格者」ではありません。司法書士という資格(肩書き)を有して働くためには、司法書士事務所(法人)に勤務する、または独立開業するという形で、全国にある管轄の司法書士会に資格者登録をする必要があります。
また、司法書士資格者は司法書士事務所以外に雇われることを司法書士法にて禁止されています。そのため、一般企業の法務部や他士業事務所で働く場合、あくまでも司法書士試験合格者としての知識を有して働くことはできますが、「司法書士」と名乗ることはできません。
2.一般的な司法書士が歩むキャリアパス4選
では、実際に司法書士として将来を描くためのキャリアパスとして、次の4つが挙げられます。
- 勤務司法書士として働く
- 勤務司法書士として働いたのち、法人のパートナーになる
- 勤務司法書士として働いたのち、独立する
- 司法書士試験合格後、すぐに独立する
それぞれのキャリアパスにおいて、どのような働き方をするのかについて、以下で詳しく見ていきましょう。
2-1. 勤務司法書士として働く
司法書士のキャリアパスとして真っ先に挙げられるのが、司法書士事務所や司法書士法人に勤務することです。勤務司法書士になると、安定した環境で働けるうえ、不動産登記や商業登記、相続業務など、司法書士業務の幅広い領域の業務を網羅的に担当でき、司法書士業務の実務経験を着実に積めるメリットがあります。
特に、先輩司法書士のもとで実務を行うことにより、試験合格だけでは得られない現場のノウハウを習得できます。さらに、勤務する事務所が扱う案件の種類や規模により、キャリアの広がりが異なる点も特徴です。大手事務所であれば、複雑な案件や大量の案件に携わる機会があり、経験の幅が広がる一方で、中小事務所であれば、より密接にクライアントと向き合う機会が多く、個別対応力を養うことができます。
2-2. 勤務司法書士として働いたのち、法人のパートナーになる
勤務司法書士として実務経験を積むことで、単に知識やスキルを深めるだけでなく、司法書士事務所の経営や運営に対する理解が深まります。その中で、事務所の経営理念やビジョンに強く共感すると、自分自身もその理念を広げ、より多くの顧客に貢献したいと考えるようになることがあるでしょう。そうした志を持つと、次のステップとして「法人のパートナー」になる道が見えてきます。
勤務司法書士としての役割は、個別の案件に集中し、依頼者のニーズに対して迅速かつ正確な法的サポートを提供することが主な業務です。一方、法人のパートナーになると、司法書士事務所の運営そのものに関わることになります。個別の案件への対応に留まらず、経営戦略の立案や組織運営、さらにはチームの指導や事務所全体の方向性を決める重要な役割を担うことになります。
また、パートナーとして活動することで、より広範な顧客層に対応し、事務所の成長にも貢献できる立場になります。司法書士としての専門的なスキルを活かしつつ、経営者としての視点を持ちながら、事務所の未来を共に築いていくやりがいを感じることができるでしょう。このように、勤務司法書士から法人のパートナーに進むことは、単なるキャリアの延長ではなく、経営者としての新たな責任と挑戦を引き受ける大きな転機となるのです。
2-3. 勤務司法書士として働いたのち、独立する
勤務司法書士として実務経験を積んでから独立するというキャリアパスは、独立を志す多くの司法書士が選ぶ道です。勤務司法書士として積んだ経験を通じて、実務スキルだけでなく、事務所の運営やクライアント対応、営業の方法も学べるメリットがあります。特に、司法書士業務は顧客との信頼関係が重要であり、顧客との関係構築のスキルを身につけることが独立後の成功に大きく寄与します。
また、司法書士事務所の経営には、法的知識だけでなく、経営戦略、マーケティング、ITの活用など、広範なスキルが求められます。特に、開業資金や初期の顧客獲得、営業活動の難しさがあり、独立に向けた入念な準備が必要です。勤務司法書士として働きながら経営に必要な知識を蓄積することで、独立後の事務所経営におけるリスクを減らすことができ、成功の確率を高めることができます。
2-4. 司法書士試験合格後、すぐに独立する
司法書士試験合格後、司法書士事務所や一般企業に勤務せず、すぐに独立するという選択肢もあります。試験勉強を通じて得た法的知識を武器に、自分の力で事務所を立ち上げ、案件を開拓していくこのキャリアパスは、チャレンジ精神旺盛な人に向いています。
しかし、勤務司法書士として働いてから独立を目指す場合に比べて、多くのリスクを伴います。司法書士業務は実務経験が非常に重要であり、試験勉強で得た理論だけでは対応できない場面が多々あります。また、クライアントの信頼を得るためには、スムーズなコミュニケーションや迅速な対応が必要です。独立した直後は、顧客基盤がないため、営業活動やマーケティングのスキルが不足している場合、経営が立ち行かなくなる可能性もあります。
このため、試験合格後にすぐ独立する際には、事前にしっかりとしたビジネスプランを立て、可能であれば営業ノウハウやマーケティング戦略に関する知識を身に付けておくことが重要です。
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