司法書士はAI時代でも安泰?将来性や長く活躍し続ける秘訣を解説
「司法書士はAIに仕事を奪われてしまう」
AI時代における司法書士の立ち位置を憂う声を聞いたことがある方も少なくないのではないでしょうか。このような話を聞くと、司法書士試験にすでに合格された方やこれから司法書士を目指そうと考えている方は、「せっかく資格を取得しても意味がないのではないか」と、不安な気持ちになってしまうこともあるでしょう。
しかし、将来的にAIが進化し、多様な業務を担当できるようになっても、司法書士の仕事がすべて奪われてしまうことは考えにくいといえます。そこで、本記事では司法書士の仕事の将来性や、司法書士がAI時代で長く活躍し続けるための秘訣について詳しく解説します。すでに司法書士試験に合格した方や、これから司法書士を目指そうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
司法書士の仕事には将来性がある
「司法書士の仕事はAIに奪われてしまうのではないか」「司法書士は将来的に不要になるのではないか」と言われることがあります。その理由として、司法書士の仕事には書類作成の仕事が多く含まれることや、司法書士のメイン業務の1つである登記の件数が減少していることなどが挙げられます。
たしかに、書類作成の仕事はAIが得意とする分野であるため、AIに仕事を奪われてしまうのではないかと考えることもあるでしょう、また、以下の表のように、登記件数も年々減少傾向にあるため、司法書士の仕事は減少してしまうと考えるのも無理はありません。
「総務省|登記事件の件数及び個数」より一部抜粋
しかし、このような現状はあるものの、司法書士の仕事がなくなるとは考えにくいと言えます。そのように言えるのは、主に次の5つの理由があるからです。
- AIで代替が困難な業務がある
- 高齢化社会における需要の増加
- 相続登記の義務化に伴う需要の増加
- 司法書士の業務範囲の拡大
- 司法書士の資格保有者が希少である
5つの理由について、以下で1つずつ解説します。
AIで代替が困難な業務がある
AIは、一定のルールに従った書類作成や情報の整理には長けていますが、司法書士の業務は単純作業ばかりではありません。たとえば、複雑な法律問題に対する解釈や、依頼者の個別の状況に応じた柔軟な対応が求められる場面では、AIは十分に機能を発揮することができません。特に、依頼者の利益を守るための的確なアドバイスや判断が求められる場面では、まだまだ司法書士が必要とされ続けるでしょう。
高齢化社会における需要の増加
日本では急速に高齢化が進み、高齢者の方の財産管理や相続問題が社会的な課題となっています。そのため、高齢者の方自身やそのご家族が財産や相続の準備を進めるために、司法書士に対して成年後見制度の利用や、遺言書作成に関する相談をされる方が増加しているのです。このように、高齢化社会が進むにつれ、司法書士の役割はますます重要になっていることも、司法書士の仕事がなくならないと考える理由の1つです。
相続登記の義務化に伴う需要の増加
2024年4月より、相続登記の義務化がスタートしました。これに伴い、これまではわざわざ相続登記をしなかったようなケースでも、相続登記を進めなければならないケースが増えることが予想されます。相続登記は、専門家でない一般の方が対応するにはハードルが高く、多くの場合で司法書士の力が必要とされるため、司法書士への依頼が増えることが見込まれるのです。このように、相続登記の義務化により相続登記を行う機会が増えると考えられるため、司法書士の仕事はむしろ増加すると考えられるでしょう。
司法書士の業務範囲の拡大
司法書士の業務範囲は、近年ますます拡大しています。従来の不動産登記や商業登記に加え、成年後見制度や裁判業務、さらには家族信託といった新たな分野にも積極的に関わることができるようになっています。特に家族信託は、財産管理や相続対策のための新しい手段として注目を集めており、これに関する相談や手続きが増加しています。こうした業務範囲の広がりにより、司法書士の活躍の場は今後ますます広がる可能性が高いと言えるでしょう。
司法書士の資格保有者が希少である
司法書士の資格は、難関資格のひとつとされ、取得するには多大な努力と時間がかかります。そのため、司法書士の数は現時点でも十分とは言えず、不足している地域も少なくありません。AIの進化により他の職種で自動化が進んでも、資格保有者が少ないという点で、司法書士は今後も希少価値が高い職業であり続けると考えられます。
AI時代でも司法書士が長く活躍し続ける秘訣
しかし、司法書士の資格を持っているだけでは、長く活躍し続けることは難しいでしょう。スキルの低い司法書士は、AIやIT技術が台頭してくるかどうかに関わらず、仕事を得ることが難しくなります。AI時代に突入しても司法書士として長く活躍し続けたいと考える場合には、「コンサルティング」を主軸にした業務を行うことが大切です。
コンサルティングとは、ただ単に定型的な業務を行うのではなく、「お客様がどのような目的をもって相談されたのか」「お客様が本当に実現したい内容は何か」をお客様とのコミュニケーションの中で探ることで、お客様が抱えている真の問題解決を図る業務です。たとえば、会社を設立する場合に、登記申請だけをサポートするのではなく、創業計画書の作成支援から助成金の申請補助、各種契約書作成支援を行い、さらに、必要に応じて弁護士や税理士など他の専門家への依頼も行うことで、会社運営の伴走者としての役割を果たすことができます。このように、「コンサルティング」を主軸にした業務を行うことで、AIはもちろん、他の司法書士にも代替できない唯一無二の存在になれるのです。
しかし、「コンサルティング」を主軸に業務を進めようとすると、業務量が多くなり、対応可能な案件数が少なくなってしまう可能性があります。そこで重要なのが、業務を遂行するスキルや効率性を向上させることです。具体的には、次に挙げた秘訣を意識して働くことが大切です。
- 業務の中でAIやIT技術を駆使する
- 対人関係スキルを向上させる
- 対応業務の多い事務所で知識・経験を積み重ねる
業務の中でAIやIT技術を駆使する
1つ目の秘訣は、業務の中でAIやIT技術を駆使することです。「AIに代替されないようにしなければ!」と考えると、AIを「敵」「司法書士とは共存できないもの」と考えてしまいがちです。しかし、AIを1つのツールとして捉えられれば、業務の幅を広げることに役立つでしょう。
例えば、入力作業をはじめとする単純作業や定型作業にAIやIT技術を用いると、人の手をほとんどかけることなく業務を進められます。今までは膨大な時間がかかっていた業務をしなくて済むようになるため、お客様との相談や提案など、司法書士にしかできない業務に費やす時間を増やせるでしょう。
このように、業務の中でAIやIT技術を駆使できれば、業務全体の生産性を向上させることにつながり、顧客を増やせる可能性も出てきます。
対人関係スキルを向上させる
2つ目の秘訣は、対人関係スキルを向上させることです。司法書士の業務では、単に書類作成を行うだけでなく、依頼者の不安や悩みに寄り添い、信頼関係を築くことが求められます。
例えば、遺言書作成の場面では、依頼者が自身の家族関係や将来に対する複雑な感情を抱えていることが多くあります。司法書士にはその気持ちを汲み取って的確なアドバイスをする、また、家族会議や調停など関係者が複数に及ぶ場合には、円滑なコミュニケーションを通じて、全員が納得できる形での問題解決に導くことが求められます。
現時点で、AIは人とのコミュニケーションを円滑に行うのが難しいため、対人関係スキルを向上させれば、AIでは与えることのできない安心感を与えられ、より強固な信頼関係を築くことができるでしょう。
対応業務の多い事務所で知識・経験を積み重ねる
3つ目の秘訣は、対応業務の多い事務所で知識・経験を積み重ねることです。AI技術が進化し、効率化が進む中でも、司法書士が長く活躍し続けるためには、広範な知識と経験を積み重ねることが求められます。特に、幅広い業務や複合的な業務を扱う事務所での実務経験は大きな財産となります。複数の分野にまたがるスキルを持つことで、価値の高い司法書士としての存在感を維持できるでしょう。
ただし、幅広い業務や複合的な業務を扱っている事務所でも、業務効率を追求するために過度に分業が進んでいる場合には、業務が限定されることが多く、知識やスキルの幅を広げる機会が限られがちです。そのため、司法書士事務所を選ぶ際には、業務の範囲だけでなく、過度に分業が進んでいないかどうかをチェックすると良いでしょう。
ぜひ司法書士法人 行政書士法人 鴨宮パートナーズで一緒に働きませんか?
司法書士試験に合格し次なるステップを探している方、司法書士として働くなかでこれまで以上に成長したいと考えている方は、ぜひ私たち、司法書士法人 行政書士法人 鴨宮パートナーズで一緒に働きませんか?
鴨宮パートナーズでは、早くから次世代の司法書士を目指し、幅広い分野でコンサルティングを主体とする司法書士業務を行ってきました。様々な案件において受任から登記完了までを一貫して担当するため、業務に関する幅広い知識や経験を身に付けられることも特徴の1つです。
また、あなたが司法書士としてさらにその先へキャリアアップするために、充実した研修制度やプログラムをご用意しています。新人教育プログラム・OJT制度といったバックアップ体制のほか、各種専門分野プログラムなども用意し、知識や経験の幅を広げ、一人ひとりがスペシャリストとして成長できるようバックアップしてまいります。
さらに、女性が働きやすくライフスタイルが変わっても永くキャリアを活かせるように、産休・育休・リモートワーク・時短勤務制度を設け、仕事とプライベートの両面を充実させワークライフバランスを実現できるようにサポートしています。すでに制度を使って多くの女性スタッフが活躍していますので、ご興味のある方は、ぜひ下部にあるお問い合わせページから、お気軽にご相談ください。皆様からのご応募をお待ちしております。