合同会社とは、「出資者=会社の経営者」となる形態の法人を指します。
会社法上では、合資会社や合名会社と同じく「持分会社」に分類されます。持分会社における社員は出資者のことを指し、一般的に言うところの従業員とは異なります。
出資したすべての社員が、会社の決定権をもち、経営を行います。出資者の中で代表権を持つ社員を「代表社員」と呼びます。
会社を設立しようと考える時、株式会社にするか合同会社にするかで悩まれる方は多いでしょう。合同会社という新たな会社形態が生まれた会社法施行当時は、まだまだ知名度の低かった合同会社ですが、日本でも馴染みのある「Google」「Apple」「Amazon」などの大手外資の日本法人がこぞって合同会社の形態であったり、 近年はその知名度も設立件数においても、年々飛躍的に向上し続けています。
合同会社と株式会社との違い
現在、会社携帯は大きく「株式会社」と「持分会社」とに分けられ、次のような違いがあります。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
意思決定 | 株主総会 | 総社員の同意 |
所有と経営権 | 原則完全分離 | 原則同一 |
出資者責任 | 間接有限責任 | 間接有限責任 |
役員・役職の任期 | 最長10年 | 任期無し |
代表者の名称 | 代表取締役 | 代表社員 |
決算公告 | 必要 | 不要 |
定款 | 認証必要 | 認証不要 |
利益配分 | 出資比率による | 定款で自由に規定 |
合同会社の特徴として、主に次の3点が挙がります。
合同会社の特徴
- 生じる責任は有限責任のみ
- 出資額によらず1人1票の議決権
- 役職の任期が定められていない
生じる責任は有限責任のみ
株式会社と同様に「間接有限責任」のため、会社が負債や借金を負った場合にも、出資額以上の責任を負う必要がありません。
持分会社のひとつである合名会社では「無限責任」が適用されるため、すべての社員が無限責任を負い、会社が負債を抱えた場合に、債務者として弁済する必要があります。合資会社では、一部社員が無限責任を負い、ほかの社員は有限責任となります。
出資額によらず1人1票の議決権
株式会社の場合、出資額に応じた議決権が与えられますが、合同会社の社員は出資額の大小によらず、「一人につき1議決権」が与えられます。
そのため、意思決定の際には、多数決で決められることになります。ただし、定款によるルール変更ができるため、株式会社のように出資額に応じた議決権を持つように変更することも可能です。
役職の任期が定められていない
株式会社の場合、会社法332条で役員の任期は2年(非公開会社の場合10年まで)と定められています。
一方、合同会社では役職の任期に対する規定がないため、10年以上継続する事が可能です。役員の氏名・役職等に変更がない限り、登記変更の必要もありません。
合同会社のメリット・デメリット
合同会社のメリットは次のようなものがあります。
設立費用やランニングコストが低く抑えられる
- 設立費用(実費)
- 株式会社を設立する場合、登録免許税(資本金に比例して15万円~)や公証役場での定款認証 (約5万円)で最低でも実費約20万~かかるのに対し、合同会社は定款認証が不要のため、 登録免許税(資本金に比例して6万円~)と安く済みます。
- 決算公告義務なし
- 株式会社では必須となる、毎期の決済報告が不要。公告費用がかかりません。
- 役員任期更新が不要
- 株式会社では定められた任期の度に役員登記の手続きが必要なのに対し、 合同会社は社員に任期がなく定期的な役員変更登記が必要ありません。
経営の自由度(定款自治)
株式会社では「所有(出資)と経営の分離」の原則から株主総会が必置となり、 重要な意思決定には一定の手続き・時間を要するのに対し、合同会社では出資者=社員となるため、 迅速かつ容易に経営の意思決定が可能となります。
一方で、次のようなデメリットも存在します。
信用度が低い
前記のとおり、会社法施行当時はまだ世間への認知度も低く、株式会社に比べると信用度が低いと言われてきましたが、 近年は認知度の高まりに伴って信用度におけるデメリットは解消されつつあります。
資金調達が難しい
株式会社と違って、株式を公開(上場)する事により資金調達をする事はできません。
経営の自由度(定款自治)
メリットでもある反面、社員同士の意見が対立してしまった場合や自治の内容に不満が出た場合には、意思決定がストップしてしまう可能性があります。
社員を多くしすぎない事、社員の構成によっては設立時にあらかじめ慎重に定款内容を設定しておく事が重要です。