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代表取締役(取締役)

設立関連

代表取締役(取締役)は、監査役などの他の役員とは異なり、株式会社(有限会社を含む)に必ず設置される役員です。会社法第348条、第349条にて、取締役はこのように定義されています。

第348条

  • 取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役設置会社を除く)の業務を執行する。
  • 取締役が2人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。

第349条

  • 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。

このように、取締役は原則として会社の業務を決定、執行し、会社を代表する立場になります

例外として、取締役会設置会社がある場合には、会社の業務執行の決定は取締役という役員ではなく、取締役3名以上で構成される取締役会という会社の機関で決定し、実際の業務執行も取締役会で選定された取締役が行うということになります

また、取締役会設置会社では必ず取締役の中から代表取締役が選定されます。代表取締役に選定されなかった取締役は俗にいう「ヒラ取締役」という立場で、会社を代表する権限はありません。

会社を代表する取締役、代表しない取締役を決定することは取締役会が無くても可能です。
前述の会社法第349条の但書に、「他に取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。」 とあります。

取締役会の無い会社では次の3つの方法から代表取締役を決定することになります。

取締役会非設置会社の代表取締役選任方法

  • 定款(会社の基本原則を定めたもの)の条文中で定める
  • 取締役の互選で定める(定款中にそれを可能とする条文がある場合のみ)
  • 株主総会の決議によって定める

取締役の要件

会社法第311条に「取締役の資格等」とありますが、細かい条文なので概要を下記に記載します。取締役になることができない人は次のとおりです。

取締役になることができない者

法人

会社は取締役になれず、自然人である必要があります。

成年被後見人若しくは被保佐人

認知症などで自らの財産管理が困難なためサポートを受けている方です。

会社法関連の罪を犯し刑に処せられ、その執行を終わりまたはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者

会社運営にかかわる中での犯罪を犯した方です。執行猶予中を含み量刑も問わないとなっている事から、会社運営に関わる犯罪を犯した者は、取締役としてより相応しくないという法律の考え方が窺えます

会社法関連以外の法律違反により、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでまたはその執行を受けることがなくなるまでの者(執行猶予中の者を除く)

会社運営とは関係の無いところで犯罪を犯した者です。

上記の取締役になれない者として「破産者」が含まれていませんが、破産者でも取締役になる事は可能です。しかし、現在取締役である方が破産した場合は事情が変わってきます。

取締役は通常の従業員とは違い、株主総会で選ばれ、会社と「委任契約」を結んでいる立場になります。そして、委任契約は受任者が破産すると当然に終了します。

そのため、取締役が破産した場合はそこで一度取締役を退任し、そのまま続けるのであれば、 再度株主総会で選任するという手続きが必要になってきます

また、未成年者も取締役になる事は可能です。ただし、前述したように取締役は会社と委任契約をしています。未成年者が契約をする場合は親権者の同意が必要ですので、取締役に就任する際には親権者の同意が必要になります。

なお、取締役就任後の取締役としての行為についてはもちろん親権者の同意は不要です。

また、会社を代表する取締役になる場合には、印鑑証明書が必要になります。現在、印鑑登録が可能なのは15歳以上とされていますので、実務手続き上、15歳未満の方を会社を代表する取締役にするのは難しいのが現状です。

取締役の責任

取締役は株主から経営のプロとして選ばれ会社と委任契約を締結しているため、通常の従業員と比べて、業務執行における責任も重いものとなります。

取締役が負う責任

任務懈怠責任

取締役がその任務を怠って会社に損害が生じた場合は、取締役は損害賠償責任を負います。

競業避止義務

会社の承認を得ずに、その会社と同じ部類の商売を自ら行った場合に、取締役は会社に損害賠償責任を負います。

利益相反取引

取締役が会社の利益と相反する取引、例えば、取締役個人の不動産を会社が買うなどの取引(取締役の利益のために不当な代金で会社に購入させる恐れがある)をし会社に損害が発生した場合、取締役は会社に対して損害賠償責任を負います。

取締役が任務を怠った結果、第三者に損害が発生した場合には、 基本的には会社が第三者に対して損害賠償責任を負う事になります。

しかし、取締役の怠慢が悪質といえる場合には、第三者から直接取締役へ損害賠償の責任を問う事も可能です。

関連用語

  1. インボイス制度についての見直し

  2. ストックオプション税制の拡充

  3. 定額減税の実施

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