印鑑届書とは、会社実印を法務局に届け出るための書類です。個人に置き換えると、市町村などの役所に実印登録することと同じと言えるでしょう。
印影登録の特徴
- 代表者が1人の場合は必ずその代表が印影を登録
- 複数名の代表がいる場合、その内の1人が印影を登録するのが一般的
- 複数の代表が各自に異なる印影を登録する事は可能だが、同じ印影(印鑑)を複数の代表が自身の登録印として届け出ることはできない
印鑑届出によって登録する印鑑は、通常の契約印、銀行印、角印等とは異なる印鑑を登録することが多いようです。
会社によっては、会社実印(法務局登録印)、銀行印、契約印等全て同じ印鑑を使用している会社もあります。
管理上のリスク等を考慮して使用すれば、法律上どちらが望ましいということはありません。
印鑑届書の提出を要するケース
- 会社・法人の設立登記を申請するとき
- 本店移転を行い、法務局の管轄が変わるとき
- 現代表者が辞任等で退任し、新しい代表が就任するとき
- 会社の商号を変更し、印鑑を新たに作成するとき
※商号変更をしない場合でも、印鑑を新しく作成・登録したときに行うことも可能 - 会社が組織変更をするとき(有限会社⇒株式会社など)
- 会社が解散し、清算人を選任するとき
2の例として、「東京都千代田区」の会社が「東京都世田谷区」に本店移転する、など本店の所在地を管轄する法務局(支局・出張所含む)が変更となる場合が挙がります。
そのため、「東京都千代田区」の会社が千代田区内で本店移転するケースなど、同一管轄内での移転の場合は印鑑届書の提出は不要です。
また、個人経営の代表者1人のみの会社などの場合、引越しとともに法人の本店移転が発生することもあるでしょう。その際、代表者個人が市区町村に届出する印鑑証明書と、法人の印鑑届書は扱いが異なりますので、注意が必要です。
印鑑届書と印鑑カード
印鑑届出を行うと、会社印鑑カードが発行されます。個人実印を登録した際に発行されるカードと同様のイメージです。
印鑑カードについては、印鑑届書の提出を要する内容(上記の1~6)によって、取り扱いが異なります。
3,4,6の場合、従前のカードを引き継ぐことも可能です。
会社法の一部が改正され、令和3年2月15日の商業登記法第20条の改定により、登記申請をオンラインで行う場合、届出の提出が任意となりました。
しかし実務上、金融機関の融資を行う場合や重要な契約をする場合など、会社実印の印鑑証明書の提出が求められるケースは度々発生するでしょう。
印鑑届書を提出し、印鑑登録および印鑑カードを発行しておくと、法務局の発行請求機などで簡単に印鑑証明書を取得できるため、特段の理由がない限りは、届出をしておくと良いでしょう。