監査役とは、株式会社の機関のひとつで、株主によって選任され、取締役の職務執行内容を監査する権限を有する人のことを指します。
株主に代わり、取締役がきちんと業務執行をしているかをチェックする立場であるため、監査役自身は業務執行に関与することはできません。
監査役の業務内容
会社法では監査役の権限を次のとおり規定しています。
会社法第381条(一部抜粋)
- 監査役は、取締役の職務の執行を監査する。……
- 監査役は、いつでも、取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対して事業の報告を求め、又は監査役設置会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
(3項、4項省略)
以上のように監査役は取締役などが行っている業務に不正がないか、監督する立場にあります。
会社法が施行される前の旧商法時代には、監査役を株式会社に必ず設置しなければいけなかったため、とりあえず近しい親族を就任させ、監査役本人も何をする立場なのか良く分からないまま会社登記簿にその名前が記載されている、という会社も多いかもしれません。
会社法が施行され、監査役を設置するか否かは、原則、任意になりました。しかし、会社法施行後も下記の株式会社には、監査役を置かなければならないとされています。
監査役が必須となる株式会社
- 取締役会設置会社(非公開会社が会計参与を設置した場合を除く)
- 公開会社(委員会設置会社を除く)
- 大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社)
監査役の監査対象
監査役の監査対象は2つに大別されます。
①業務監査
取締役などの業務が違法ではないか、又は定款に違反し著しく不当ではないかを監査すること
(業務が妥当であったか否かを監査する権限まであるかは個別による)
②会計監査
毎年定時株主総会に提出される計算書類を監査すること
非公開会社では、定款の中で監査役の監査の範囲を②の会計監査のみと限定する事も可能です。
非公開会社の多くは株主=取締役であるので、株主のために取締役の不正を監査する必要性は低いされ、このような定款内容にされることがあります。
なお、この会計監査に限定する規定は登記事項ですので、会社登記簿に記載されます。
監査役の欠格事由
監査役の欠格事由としては、基本的に取締役と同様ですが、監査役という立場上、その会社及び子会社の取締役・使用人はその会社の監査役を兼任することはできません。
監査役の任期
監査役の任期は、原則、選任後4年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。
非公開会社では、定款に定めることにより10年まで伸長できるのは取締役と同様です。しかし、取締役の任期がいくらでも短く決めることができたのに対し、監査役の任期を4年より短くする事はできないとされています。
これは、監査役の独立性を確保し、恣意的に任期を短縮させ監査役の正当な監査を妨害することのないようにするため、とされています。