一般財団法人とは、『一般社団法人及び一般財団法人に関する法律』に基づいて、一定の要件を満たしていれば、 事業目的に公益性がなくても設立できる法人です。
財団法人の特徴
- 「財産」に対して法人格が与えられます。
- 設立者が300万円以上の財産を拠出、その財産の運用利益を活動原資として継続する
- 営利法人である株式会社等と異なり、設立者に剰余金又は配当財産の分配を受ける権利を与える定款は無効
一般財団法人と株式会社等の営利法人との大きな違いとして、「利益の分配」が挙がります。株式会社の場合、事業により発生した利益すると、株主に対して配当金という形で利益を分配します。
それに対し、財団法人は名目上は「非営利法人」のため、利益の分配ができません。ただし、それ以外に大きな違いはなく、一般財団法人でも利益を追求する活動をしても問題はありません。
一般財団法人と公益財団法人の違い
一般財団法人に対し、公益財団法人も存在します。公益財団法人とは、内閣総理大臣あるいは都道府県知事によって「公益認定」を受けた財団法人を指します。
公益認定されるには、「公益認定基準」を満たし、かつ欠格事由に該当しないことが要件となります。
(参照:e-Gov法令検索「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」)
また、公益財団法人は、より公益性が求められる代わりに、寄付に関する税制優遇が受けられるという利点があります。
一般財団法人 | 公益財団法人 |
---|---|
登記手続きのみで設立可能 | 公益認定基準を満たす 欠格事由に該当しない |
利益追求のための活動も可能 | 活動の本質が「公益目的」である必要がある |
税制優遇なし(非営利型法人を除く) | 税制優遇あり |
設立要件
- 1名以上の設立者(『遺言』による設立も可能)
- 300万円以上の財産の拠出
- 必須機関の設置
必須機関
- 評議員:3名以上
- 理事:3名以上
- 監事:1名以上
- 評議員会
- 理事会
- 会計監査人(任意機関)
定款の必要記載事項
設立時の定款に下記事項の記載を必要とします。
- 名称
- 目的
- 主たる事務所の所在地
- 設立者の氏名または名称及び住所
- 設立に際して設立者が拠出をする財産及びその価額
- 設立時評議員、設立時理事及び設立時監事の選任に関する事項
- 評議員の選任及び解任の方法
- 会計監査人設置一般財団法人を設立しようとするときは、設立時会計監査人の選任に関する事項
- 公告方法
- 事業年度
評議員会の決議事項
評議員は一般財団法人に対して大きな影響力を有しています。評議員会の決議事項として下記事項が挙がります。
- 理事・監事・会計監査人の選解任
- 定款変更
- 事業譲渡
- 継続
- 合併
一般財団法人のメリット
一般財団法人のメリットとして、主に次の3点があります。
- 団体名義での銀行口座開設・不動産登記が可能
- 明瞭な取引がしやすい
- 相続トラブルが発生しない
1.団体名義での銀行口座開設・不動産登記が可能
財産に対して法人格が与えられるため、団体の構成員個人ではなく、団体そのものの名義(一般財団法人○○協会など)で銀行口座を開設したり、不動産の登記名義人として登記をすることが可能です。
また、ビジネス上の取引をする場合などにも、民法・商法における取引主体として認められます。
2.明瞭な取引がしやすい
法人として登記されているため、取引の明瞭性が高いという利点があります。
登記されていない団体相手に取引をする場合、団体としての取引なのか、それとも団体の代表者個人や構成員個人としての取引なのかが曖昧になり、トラブルが発生しやすいという難点があります。
一般財団法人で取引された財産は、代表者や構成員個人の財産と明確に区別できるため、上記のようなトラブルの心配がありません。
3.相続トラブルが発生しない
2でお伝えしたとおり、財団法人の所有する財産は団体の固有財産として、代表者や構成員個人の財産と区別されます。
そのため、代表者や構成員が交代したり、相続が発生した場合でも、名義の変更手続きをする必要がありません。