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会社実印


『本店所在地を管轄する法務局に届け出ている印鑑』の事を指します。
登記申請の際はもちろんのこと、経営者が会社の代表として対外的に契約等をする際にも使用します。

会社の代表者としての役割を果たす印鑑なので、『代表者印』とも呼ばれています。




【商業登記法第20条第1項】
登記の申請書に押印すべき者は、あらかじめ、その印鑑を登記所に提出しなければならない。 改印したときも、同様とする。



⇒現在、法務省では商業登記の完全オンライン化に向けて、印鑑届出義務を廃止し、 届出を任意とする選択制へと見直しを図っています
( 概要は こちら )

しかし現状の実務として、契約書等に押印を必要とする場面は依然として多く、 弊社でも設立登記時には実印の作成を承る事がほとんどとなっています。




1.なぜ、『実印』でなければならないのか?




取引先との契約、融資を受ける際の金融機関との契約など、 会社では様々な場面で代表者の記名押印が必要とされる場面に出くわします。

署名または記名押印された書類等は、その本人の意思により作成された書類であると推定され、 意思確認の際の有力な証拠としてみなされるからです。


実のところ、私たちが普段から利用している三文判でも、実印と同じ証拠能力があります。
しかし三文判は複製が容易であり(それこそ最近では100円ショップでも手にすることが出来ます)、 契約に争いが生じた際に、より証拠能力が高いものとして会社実印を押印することが一般的です。

また相手方からも実印での押印(場合によっては、併せて印鑑証明書の添付) を求められる事も多いでしょう





2.実印のかたちはどんなものでも良いのか?




登記上の制限があり、『1辺の長さが1cmを超えるもので、3cm以内の正方形に収まるもの』とされています。
上記の点を押さえていれば特に形態に規則はありません。一般的には、直径18mmの丸印が使用されているようです。

外枠に「会社名」を、内枠に「代表取締役印」という文言が記載される事で、もし代表者の交代があった場合でも、 印鑑を作り直す必要がなくなります




3.印鑑の種類は他にも必要なのか?


必要最低限の印鑑の数を言えば、代表者印1つあれば問題ありません
しかしながら、会社が大きくなるほど押印を必要とする場面も多くなり、 万が一に悪用・乱用されるリスクを考えると、全ての書類に代表者印を用いるのは現実的ではありません。



そこで代表者印の他に、日常の業務使い用として、下記のような印鑑が用いられます。



【銀行印】


その名前の通り、銀行口座を開設する際に必要な印鑑で、銀行に届出たものが銀行印となります。
銀行取引の際に使用するため、その重要性を考えると、ある意味、実印と同様に重要なものですので、 取扱いには注意する方がよいでしょう。



【角印】



四角の印鑑で、会社名が彫られているものが多いようです。
請求書・領収書の発行などで主に使用されます。



【ゴム印】


印鑑としての機能を果たすものではありませんが、契約書などの書類に自筆でサインする代わりに用いられるなど、 日常の様々な場面で頻繁に使用される印鑑です。
一般的には、会社名・本店所在地・代表者名・電話番号/FAX番号が彫られています。

それぞれが分離されているタイプでは、状況によって組替えて使用する事が可能で、 横書き・縦書きの両方を用意しておくと、押印が必要な書面の形式を問わず使用できます。




4.商業・法人登記の添付書類押印の扱いの改正


2021年(令和3年)2月15日以降、特定の書類を除き、会社実印等の押印が審査の対象外となりました


≪改正前≫
商業・法人登記申請の添付書類については、行政が発行する書類を除き、今までは会社や個人の印鑑、 あるいは署名が求められてきました。

   ↓

≪改正後≫
今後、押印審査対象外の書類については、 押印が無い書類を提出しても登記手続が可能となりました。




【押印審査対象外の書類】の例

・株主リスト

・定款(設立を除く)

・払込証明書

・資本金計上証明書

・総数引受契約書

・新株予約権の行使請求書 他



【引続き押印が必要な書類】の例

・代表取締役の選定議事録

・就任承諾書

・辞任届(会社実印登録者)

・登記委任状

・印鑑届書

・印鑑カード交付申請書 他



なお、当該審査の対象外となる書類も、コンプライアンス上は押印があった方が良いでしょう。

当法人が登記手続きを受任するときも、原則として添付書類には押印をいただいております。