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司法書士の業務内容を徹底解説 ~裁判事務編~

司法書士の裁判事務とは

司法書士の業務内容の1つに、裁判事務があります。司法書士が行う裁判事務は、主に本人訴訟支援簡裁訴訟代理等関係業務の2つに分けられます。

本人訴訟支援では、訴訟を提起するご本人が自ら法廷に立って手続きを行うサポートをします。具体的には、各種提出書類の作成、裁判を進める上でご本人が不安に感じている点についての説明や助言などを行います。

一方、簡裁訴訟代理等関係業務では、簡易裁判所における紛争の価額が140万円を超えない訴訟や調停、裁判外の和解手続き等において、代理人として手続を行います。以前は弁護士にしか認められていなかった業務ですが、平成15年より法務大臣の認定を受けた司法書士(認定司法書士)であれば対応できるようになりました。

認定司法書士になるには、認定司法書士になるための特別研修を受講し、簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格する必要があります。詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

認定司法書士は司法書士とどう違う?なるための道筋やメリットについて解説

司法書士が取り扱う本人訴訟支援の業務内容

ここでは、すべての司法書士に認められている「本人訴訟支援」の業務内容について解説します。

本人訴訟支援とは、当事者自身が裁判を行う「本人訴訟」を円滑に進めるために、司法書士が必要なサポートを行う業務です。司法書士は、一部の訴訟事件を除いて、裁判所で直接交渉や弁論を行うことはできませんが、訴訟を進めるにあたっての手続きや書類作成の支援を通じて、依頼人が自身の権利を適切に主張できるようにサポートすることが可能です。

具体的には、主に以下の2つの業務内容が挙げられます。

訴訟書類の作成支援

本人訴訟では、訴状答弁書準備書面といった書類が欠かせません。これらの書類作成には法律知識や裁判の流れに対する理解が必要であるため、司法書士が、依頼人の主張や証拠をもとに適切な内容を反映した書類の作成を支援し、裁判で依頼人の主張が通りやすくなるようにサポートします。

証拠集めや裁判手続きの進行に関するアドバイス

訴訟では証拠が自身の主張を立証するための材料となるため、重要な役割を果たします。裁判で自身の主張を認められやすくするには適切な証拠を裁判所に提出する必要があるため、司法書士が、依頼人の持つ証拠を整理し、どのような証拠が必要か、どのように提示すべきかをアドバイスします。

また、訴訟経験のない当事者であれば、裁判に関して様々な疑問や不安が浮かびます。そこで、司法書士は依頼人が抱く裁判の進行に関する疑問や不安に対し、適切なアドバイスをすることで、依頼人がスムーズに裁判を進められるようにサポートします。

認定司法書士が取り扱う簡裁訴訟代理等関係業務の業務内容

ここでは、認定司法書士にのみ認められている「簡裁訴訟代理等関係業務」の業務内容について詳しく解説します。

「簡裁訴訟代理等関係業務」には、以下の業務内容が含まれます。

   ⑴ 民事訴訟手続
   ⑵ 訴え提起前の和解手続(即決和解手続)
   ⑶ 支払督促手続
   ⑷ 証拠保全手続
   ⑸ 民事保全手続
   ⑹ 民事調停手続
   ⑺ 少額訴訟債権執行手続

参考:法務省|司法書士の簡裁訴訟代理等関係業務の認定

これらの業務は、従来弁護士のみに認められていましたが、平成15年より認定司法書士にも認められるようになりました。以下では、簡裁訴訟代理等関係業務の業務内容について、各業務の詳細を解説します。

簡易裁判所における手続きについて代理をする業務等

⑴ 民事訴訟手続

認定司法書士は、簡易裁判所における紛争の価額が140万円を超えない訴訟の訴訟代理人になることが認められています。提出書類の作成や証拠の収集のみならず、裁判所における訴訟手続きも含めて対応することが可能です。

中でも、簡易裁判所における60万円以下の金銭の支払いを求める訴訟は「少額訴訟」として扱われます。少額訴訟は、原則として1回の期日で判決が出されたり、和解が成立したりするため、紛争解決を迅速に行える点が大きな特徴です。

⑵ 訴え提起前の和解手続(即決和解手続)

認定司法書士は、訴え提起前の和解手続(即決和解手続)についても、依頼者の代理人として和解に向けた手続きを進められます。即決和解手続とは、訴訟の提起を避け、早期の解決を目指す和解手続です。通常の訴訟手続よりも迅速かつ簡便で、和解が成立した場合、確定判決と同等の効力を持つため、紛争の早期解決が図れるでしょう。

⑶ 支払督促手続

支払督促は、少額訴訟よりも安価で迅速に債権回収するための手続きです。少額訴訟では、証拠調べや裁判所での事情の聞き取りなどの手続きが必要ですが、支払督促の手続きでは、申立書を提出し、その内容に問題がなければ裁判所から債務者に対して支払督促を送付してくれるため、迅速に手続きを進められます。督促が確定すると、強制執行の申立も可能となる点も支払督促手続の大きな特徴です。

⑷ 証拠保全手続

証拠保全手続とは、訴訟に用いる証拠が失われることを防ぐために、訴訟提起前に証拠となる資料を調査し、保全する手続きです。例えば、建物の破損状況や契約書の原本など、重要な証拠が紛失や改ざんされるおそれがある場合、司法書士が依頼者の代理人として証拠の保全を裁判所に申請します。

⑸ 民事保全手続

民事保全手続とは、判決を得るまでの間に相手方が財産を隠匿したり処分したりすることを防ぐため、財産の仮差押えや仮処分を行う手続きです。具体的には、債権者(民事保全の申立をする人)が将来的に強制執行できるようにするため、債務者(民事保全の申立をされる人)の不動産や預金口座などの仮差押えなどを申請し、財産の確保を図ります。

⑹ 民事調停手続

民事調停手続とは、裁判外紛争解決手続(ADR)の1つで、簡易裁判所にて和解により紛争解決を目指す手続きです。裁判官と調停委員(一般市民から選任)が双方の主張を調整し、中立的な立場から和解案を提示します。裁判よりも柔軟な解決が図れる上、手続きの内容は非公開でありプライバシーを守れるため、家庭や近隣トラブルなどでも多く利用されることが特徴的です。

⑺ 少額訴訟債権執行手続

少額訴訟債権執行手続とは、少額訴訟で確定した債権の強制執行手続きです。少額訴訟では、60万円以下の金銭の支払いを求める事件に関する判決が迅速に出されますが、判決後に相手が支払いを行わない場合、強制的に支払いを確保するために執行手続きが必要です。司法書士は依頼人の代理として財産の差押えなどを進め、債権の回収をサポートします。

裁判外の和解手続について代理する業務

簡裁訴訟代理等関係業務には、簡易裁判所を通した紛争解決だけでなく、裁判外で行われる紛争解決の代理も可能です。その1つとして、裁判外の和解手続について代理する業務が挙げられます。

裁判を経ずに当事者同士で和解を目指す場合、司法書士が和解交渉を代理することが可能です。裁判所を介さずに行うため、時間と費用を節約できる一方で、相手方と交渉し合意を得るには高い交渉スキルが求められます。そこで、専門家である司法書士が依頼人の意向をもとに代理人として和解に向けた交渉を進め、依頼人の希望を実現できるようにサポートをします。

仲裁業務

仲裁とは、当事者間の紛争に第三者が関与して、最終的な解決案を示す手続きです。仲裁の特徴として、仲裁人の決定は裁判と同様の法的拘束力を持つこと、仲裁の判断には異議申し立てができず、裁判も受けられないこと、の2つが挙げられます。司法書士は、仲裁人として中立かつ公正な立場で仲裁を行います

※司法書士が仲裁人になることについての規定は設けられていませんが、認定司法書士であれば紛争の価額が140万円を超えない事件であれば、仲裁人になることは問題ないと考えられています。

参考:日本司法書士連合会|仲裁について

筆界特定手続について代理をする業務

筆界特定制度は、隣接する土地との境界が不明な場合に利用する手続きで、土地の筆界(法務局に登録された境界)を特定するための制度です。司法書士は依頼人の代理として、筆界特定登記官と協力しながら筆界を特定し、所有者間の紛争解決を図ります。

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