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退職制度で税務メリットをとりつつ、従業員の退職金準備を

中小企業においても、従業員の福利厚生、雇用の安定の観点から、退職金制度は重要です。

中小企業で広く導入されている制度として、中小企業退職金共済制度、特定退職金共済制度、小規模企業共済制度などが挙げられます。本稿では、中小企業退職金共済制度、特定退職金共済制度について、次稿は小規模企業共済制度について説明させて頂きます。

制度の概要

中退共制度は、「中小企業退職金共済法」という法律によって定められた制度になります。制度運営は、同法に基づき設立された独立行政法人勤労者退職金共済機構(以下、機構)中小企業退職金共済事業本部(以下、中退共本部)が当たっています。

事業主が雇用する従業員を対象に、機構・中退共本部と「退職金共済契約」を結び、毎月の掛金を納付します。従業員が退職した際は、退職した従業員の請求に基づき、機構・中退共本部から退職金が直接支払われます。

特退共制度は、地域の商工会等が国の承認のもとに特定退職金共済団体を設立して行っているものです。
商工会議所(商工会)の地区内の事業主が、商工会議所(商工会)と退職金共済契約を結び、毎月掛金を納付します。従業員が退職した際は、加入事業主の請求に基づき、加入事業主にかわって商工会議所(商工会)が加入従業員に直接退職金を支払う仕組みです。

掛金と税務上の取扱い( 両制度共通)

いずれの制度でも、掛金は法人企業の場合は損金、個人企業の場合は必要経費として処理できます。

加入条件と掛金月額

加入できる企業は、業種によって異なります。常用従業員数または資本金・出資金のいずれかが次の範囲内であれば加入できます。ただし、個人企業や公益法人等の場合は、常用従業員数によります。

掛金月額は、5,000円~30,000円で従業員ごとに設定できます。

商工会議所(商工会)の地区内に事業所を有する事業主であれば、退職金共済契約を締結することができます。中小企業退職金共済と異なり、加入する事業所の業種や規模(常用従業員数または資本金・出資金等)による加入の制限は設けられていません。

掛金月額は、従業員1人につき1口1,000円、最高30口30,000円まで加入できます。

その他留意点

➢ いずれの制度でも、加入する場合、原則として全従業員が対象となります。また原則、役員は加入できません。
➢ 中退共と特退共との重複加入が認められます。また、中退共を利用していた事業所が中小企業の範囲を超えた場合、一定の要件を満たしていれば特退共への移行が可能です。
➢ 退職制度を導入する際は、併せて「退職金規程」を作成し、制度を整えることが重要です。

朝日税理士法人・朝日ビジネスサービスでは、その他の税制サポートも支援しております。
ご不明な点は、朝日税理士法人担当者へお気軽にご相談ください。

こちらからもご覧いただけます→ASAHI NEWS 令和6年10月10日 第175号

提供元:朝日税理士法人

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