日本経済はいままさに大きな転換点を迎えており、金利・物価・人件費のトリプル高が企業経営を直撃しています。自社の先行きについて漠然とした不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は決算書の数字だけでは見えにくい「会社の生存能力」の診断に役立つ簡単な分析指標を、2つの視点から分かりやすく紹介いたします。財務の傷みがじわじわと進み気がついた時には手遅れだった、という最悪の事態にならないよう、客観的に自社の「基礎体力」を測定してみてはいかがでしょうか?
資 金 繰 り ( フ ロ ー の 視 点 )
「業績は悪くないはずなのに、なぜか手元の資金にゆとりがない。」もしそう感じられているとすると、値上がりした仕入や人件費の支払と、価格転嫁できたとしても売上で回収できるまでの時間差、在庫など必要運転資金の増加や借入の返済などが、損益計算書には現れない目に見えない形で資金を削っているのかもしれません。過去の実績に足もとの金利、コスト増を上乗せして将来数ヶ月~1年程度の資金繰り予測を並べて、次のような項目をチェックしてみましょう。特定の月などに通帳残高が危険水域まで下がる「将来の資金ショートの兆候」を事前に予測し可視化することができます。
| チェック項目 | 計算式 | チェックの目的 |
|---|---|---|
| ① 現預金月商倍率 | 現預金 ÷ 平均月商 |
✓ 不測の事態等で売上が急減したとき、資金的に自力で何か月持ちこたえられるか ◆ 一般に中小企業で最低1.5〜2ヶ月あることが望ましく、3ヶ月以上なら安心とされます |
| ② 簡易営業 キャッシュ・フロー | 税引後当期純利益 + 減価償却費 - 運転資金増加額 | ✓ 本業の営業活動で現金を増加させられているか |
財務安全性分析(ストックの視点)
フロー(資金繰り)が窮屈になる本当の原因(=体質)がストックに隠されているかもしれません。滞留在庫や回収の遅い売上債権の増加(ストック)が翌期の資金繰り(フロー)を圧迫し、これにより不足する資金を借入等で補えば(ストック)、返済や利払いでさらにフローは厳しくなります。ストックの悪化がフローを縛り、それがストックを傷つけ、さらにフローを悪化させる「負のスパイラル」が生じていないか、いざという時に会社を持ちこたえさせる「資産の厚み(支払能力、投資余力)」や「純資産のクッション」が過去数年で削られて来ていないか、客観的に体質診断をしてみましょう。
| ストックの代表的指標 | 計 算 式 | 分 析 の 目 的 |
|---|---|---|
| ① 流動比率 | 流動資産 ÷ 流動負債 |
✓ 買掛金や未払金などの支払に充てられる手許現預金や短期に回収できる債権の余裕(安全性)がどれだけあるか ◆ 一般に100%以上が望ましく200%以上あれば安心とされます |
| ② 自己資本比率 | 純資産 ÷ 総資産 |
✓ 会社の総資産のうち、返済や支払が不要である純資産がどのくらいあるか ◆ 中小企業では一般に20〜30%で平均的水準、40%以上あれば良好とされます |
| ③ 棚卸資産回転期間 | 棚卸資産 ÷ 平均月商 |
✓ 在庫が売上の何か月分残っているか ◆ 長過ぎればそれだけ資金が眠っていることになります |
| ④ 売上債権回転期間 | 売上債権 ÷ 平均月商 |
✓ 売上から回収まで何か月かかっているか ◆ 長過ぎればそれだけ運転資金を余分に必要とすることになります |
今回ご紹介したのは簡易な指標を用いた予備的な分析です。「負のスパイラル」の兆候をより確実に診断するには「ローカルベンチマーク」(経済産業省でも推奨)やキャッシュ・フロー計算書の3区分のバランスの検証をはじめとする、より掘り下げた分析が有効です。弊社ではこうした診断のご支援をしています。ご関心のある方は担当者までぜひご相談ください。
提供元:朝日税理士法人
















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