1.遺産分割と財産分与の関係性
今回は少し特殊な例ですが、相続人の離婚と実家の土地の相続についての相談事例をご紹介したいと思います。
まずは下記の相関図をご覧ください。
≪相関図≫
父(被相続人)、母(同居)、長女(嫁いでいる)、長男(同居)
弊社の司法書士が、ご自宅を訪問し遺産分割協議についてお話をお伺いした内容は下記の通りです。
- 建物は同居の長男で登記名義が入っている
- 父の底地の相続登記も長男名義にしたい
ご相談は進み、相談が終盤に近付いたところです。
同居のお母様も長女様も、実家の土地は長男様が単独名義をいれることで納得していたのですが、肝心の長男様はなぜか難色を示し発言がありませんでした。
そしてご相談の最後に、ご長男から次の様なお話がありました。
実は、今妻と別居中でして……
これから、財産分与について話し合う所なのですが、今、私が実家の土地を相続してしまうと、この土地の一部を財産分与で妻に渡す必要があるかもしれないと思って。
それだけは、耐えがたく今回は私の名義にしたくないのです。
建物の登記は、長男様が結婚する以前から名義を持っていました。
長男様が土地を相続した場合、はたして実家の土地建物は財産分与の対象になってしまうのでしょうか。
2.財産分与の発生時期は婚姻から別居(離婚前提)まで
結論としては今回のケース、実家の土地の相続は離婚時における財産分与には影響を与えません。
そのため、相続人全員の協議内容どおりに長男様が取得したとしても、別居中の妻には、実家の土地の持分や代償金を財産分与として支払う必要はありません。
離婚時の財産分与は婚姻時点~別居時点までに夫婦で共同で築き上げてきた財産一切が対象となりますが、婚姻前にご自身名義で買った財産や実家の相続で取得した財産は特有財産と呼ばれ、財産分与の対象にはなりません。
上記の内容をお伝えすると、ホッとしたご様子で、無事に長男様名義で相続登記の申請をすることが出来ました。
3.まとめ
- 財産分与の対象となる財産は、婚姻時点から離婚前提の別居時点(もしくは離婚時点)までが対象となる
- 婚姻中に所有していた財産や取得した財産(相続財産含む)は夫婦の共有財産となり、財産分与の対象となる
- 婚姻前に所有していた財産や別居後に取得した財産は特有財産となるため、財産分与の対象とはならない
今回ご紹介した事例のように、一言に相続手続きといっても、相続人の置かれている状況は千差万別です。
- 遺産分割で迷っている
- 二次相続を睨んだ遺産分割をしたい
- 相続人の一人が債務整理をしている
- 相続人の一人が離婚協議中である
- 相続人の一人が失踪していた
上記はほんの一例で、遺産分割には多種多様な論点があります。
相続の専門家の役割は単なる手続き代行ではなく、各ご家庭が置かれた状況や一切の事情をヒアリングし、時には相続とは関係ないように思われる法律知識も駆使しながら最適なご提案をする必要があります。
当法人では、様々な相続手続きを手掛けてきた専門の司法書士がチームを組み、ご相談者様に最適なご提案をしていきます。
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