1.換価分割の定義
以前のトピックスにおいて、遺産分割方法について、現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の方法があるとお伝え致しました。
今回は、良く質問される換価分割について取り上げたいと思います。
換価分割とは、対象となる遺産(不動産や株)を換価(お金に変える事)して、そのお金を予め定めた分配比率に応じて分割することをいいます。
ただし、この定義を誤ってしまうとトラブルになる可能性もありますので注意が必要です。
前述の通り、『今ある遺産をお金に変えて分割する』が換価分割の趣旨ですから、将来、またはいつか売却してお金に変わったら分配すればいいや、とのあいまいな形で手続きを終えてしまいますと、虚偽の遺産分割・虚偽の相続登記・贈与税の課税リスクが浮上してきます。
下の相関図をご覧ください。
ご相談者の長男からは次のように相談を受けました。
田舎にある父の遺産としての自宅は、現在母が住んでいるから、まだ売却は出来ないけれど、いずれ母も一人暮らしが限界になることだし、その際は売却して、3人で売却代金を法定相続分通りに分配したいです。
但し、母の名義に相続登記を入れてしまうと、認知症になった場合スムーズに売却手続きが出来ないと聞いたから、登記名義は一旦長男である僕が代表して名義を貰っておくつもりです。
先生、この内容はネットで調べたら換価分割という方法だと思いますが、これで手続きしてもらえますか?
さて、このご相談者の考え、皆さんはどう思われますか?
2.換価分割を検討する際の注意点
上記のご相談内容は、実は換価分割とは言えません。
なぜなら、『対象となる遺産を速やかに換価する作業をしていないから』です。
将来売るべき時が来たら売って、売却益を法定相続分通り分配するという点では換価分割と性質上似ているとは言えますが、これは単に売れるまで一旦登記名義を預かるだけの行為であり、売却時期についても見込みが無い為、換価分割とは呼ぶことができないのです。
更に、税務上においても、本来すぐさま売却してその売却益を分配すべきであるのに、5年も10年もその行為をせずに登記名義を預かる事自体がもはや、『他の相続人にお金を分配する債務を免除してもらっている行為』と同視することができ、他の相続人から登記名義を預かった贈与税が課せられる可能性があります。
もちろん、法務局の登記においても同じことが言え、一旦便宜上登記名義を預かるということは換価分割が成立しておらず虚偽の登記になる為、登記申請を取り下げて下さいと法務局に指示される可能性があります。
このように、換価分割は解釈を間違えてしまいますと、課税のリスクが生じ、また、登記手続きも受理されない危険性が生じてきます。
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