1.深刻化する空き家問題
日本では現在、『空き家』が多く、年々増加傾向にあります。
都内近郊にお住いの方はピンとこないかもしれませんが、総務省の直近平成30年の統計では、空き家の戸数は848万9千戸となり、空き家率は全国の総住宅戸数の13.6%と過去最大の割合となっています。
空家の内訳として特に顕著なのが、「賃貸用」「売却用」「二次的住宅(別荘等)」のいずれにも該当しない「その他の住宅」(転勤・入院等のために居住世帯が長期にわたり不在の住宅や、建て替えなどで取壊し予定のもの、その他空き家の区分の判断が困難な住宅がもの)で、平成25年の統計時より9.5%も増加しています。
⇒(参考)総務省統計局『平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計』
地方だけではなく、東京都10.6%、神奈川県10.8%、埼玉県10.2%、千葉県12.6%と、1都3県だけ取り上げても平均10%強の空き家率であることから、全国的にみると今後ますます加速していく事が懸念されます。
2.空き家発生の要因
空き家増加の主な要因としては、
- 高齢化による高齢者の相続発生率の上昇
- 高齢化による老人ホーム等共同住宅施設の利用
- 出生率の低下
- 所有者不明住宅の増加
といったものが挙げられます。
現状の問題を大別すると下記のようになります。
①空き家を所有しているが、どう扱うか方針が決まっていない
②そもそも自分が所有者だという自覚がない
①に関しては、自分は別の家に住んでいて、直近で何か対策をする必要がないため、そのままになっている、といったケースが多いようです。
特に固定資産税がそれほどかからない場所の物件を所有している場合、面倒な手続きをする事を考えるとたいした痛手ではないし、売却しても思ったような金額にならない、と判断する方もいるでしょう。
②に関しては、元の所有者に相続が発生したが、遺産分割協議がまとまっていない、またはそれほど価値がないため税務申告も必要なく、次の所有者が決まらないままになっている、といったケースです。
いずれにしても、機を逃してしまうと改めてどうこうするのはなかなか大変なものです。
3.国の空き家対策
上述したような事態を踏まえ、国としても適正に管理されない空き家等が周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼしている事を鑑み、『空家等対策の推進に関する特別措置法』(以降この記事では『空家特措法』と略します。)を制定し、平成27年5月26日より全面施行となりました。
この空家特措法では、税制措置や財政支援措置等で空き家の活用・除去の促進を促すほか、特にそのままの状況にしておくことが不適切である「特定空家等」に該当する場合、そのままにしておくと税制控除が除外されたり、罰金や最終的に行政代執行により撤去・解体されるケースもあります。
現状では対象となっていない建物でも、劣化によって今後いつ特定空家等の対象となるかはわかりませんので、何らかの対策を検討する方が良いでしょう。
⇒(参考)環境省『空家等対策の推進に関する特別措置法の概要』.pdf
4.空き家を資産として考える
空き家を資産として考えた際に、
- 自身の住宅として活用
- 建替えて賃貸として活用
- 売却
のいずれかが想定されます。
いずれの方法にしても、所有者でないと売買契約、建て替え工事等の契約が出来ませんので、現所有者が既に亡くなっている場合は相続登記が必要となります。
不動産の名義変更はご自身で行うことも出来ますが、必要書類等、複雑かつ煩雑な手続きの為、司法書士等の専門家にご依頼する事をお勧めします。
相続手続に関しては、別のトピックスでも取り上げておりますのでご確認下さい。
現所有者がご存命で管理だけ任されている状況の場合、所有者の年齢によっては将来的に認知症が懸念されます。
不動産に関する契約行為には本人の意思確認が必須となりますので、認知症になってしまった後では管理・運用等が出来なくなります。
そうなってしまう前に家族信託等を使って、所有者が認知症となってしまった後も引き続き管理・運用を出来るように対策しましょう。
家族信託の仕組み概要につきましては、下記ページより詳細をご確認下さい。
5.まとめ
相続・生前対策は、実際に何かしらの出来事が起こってから初めて考える人が多く、差し迫った状況でないと後回しになりがちです。
しかし実際にいつかやろうと思っていても、時間の経過とともにどんどんと面倒になってしまうものですので、思い立ったらまずは一度、専門家に相談することをお勧めいたします。
実家の名義変更、遺言や家族信託等の生前対策をご検討の方は、目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にお問い合わせください。
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