1.準確定申告とはなにか
前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。
今回は、『準確定申告』について取り上げていきたいと思います。
相続に関する税金で有名なものとして相続税がありますが、相続に関する税金の手続きは実は相続税だけではありません。
忘れられてしまいがちな手続きとして準確定申告というものがあります。
準確定申告は確定申告と共通する部分が多いですが、準確定申告特有のルールも存在します。
これが所得税の確定申告です。
しかし、確定申告をすべき人が、年の途中で亡くなった場合や、年が明けて確定申告をする前に亡くなった場合、確定申告をしていない状態になってしまいます。
そのため、被相続人に代わって相続人などが確定申告を行う手続きが設けられています。これが、準確定申告です。
2.準確定申告が必要な人
準確定申告が必要なケースとして次のようなものがあります。
- 被相続人が一定額以上の年金収入があり、確定申告をしていた場合
- 賃貸不動産を所有していて不動産収入の確定申告をしていたという場合
したがって、相続が発生すると必ず準確定申告が必要になる、というわけではありません。
そもそも被相続人に申告する所得がなかった場合など、確定申告そのものが必要ないのであれば、準確定申告の手続きは不要です。
【準確定申告が必要かどうかの判断基準】
準確定申告が必要かどうかの判断基準として下記のものが挙げられます。
- 給与収入が2,000万円を超えていた場合
- 給与所得、退職所得以外の所得の合計が20万円を超えていた場合
- 2か所以上から給与をもらっていた場合
- 公的年金等による収入が400万円を超えていた場合
- 公的年金等による所得以外の所得の合計が20万円を超えていた場合
3.準確定申告の期限(確定申告と相違する部分)
確定申告は毎年1月1日から12月31日までの一年間分の税額を計算し、翌年の2月16日から3月15日までに申告・納税をします。
準確定申告の場合は、相続人が被相続人の相続開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に申告をしなければなりません。
この相続開始があったことを知った日とは、基本的には被相続人が亡くなられた日と考えてよいでしょう。
なお、確定申告をしなければならない被相続人が1月1日から3月15日までの間に確定申告をしないで亡くなった場合には、前年分と本年分の準確定申告をしなければなりません。
この場合、前年分の申告、本年分の申告ともに4カ月以内に行う必要があります。
納税額が生じる場合、申告期限を過ぎてしまったり申告しないでいると、加算税や延滞税といった追徴税が課される可能性がありますので、注意が必要です。
4.準確定申告が必要な場合は、早めの対応が必要
4ヶ月以内という期限がある準確定申告ですが、4ヶ月は決して長い期間とは言えません。
相続開始後は葬儀の執り行い後、年金の手続き、不動産の名義変更、預貯金の解約の手続き…とやらなければならない手続きが数多くあります。
それらと並行して準確定申告の手続きも進めなければなりません。
また周囲も知らない預金口座があったり投資をしていたりと、被相続人の財産や収入を完全に把握している方は、そう多くいないと思います。
そんな中、資料を収集しそれを基に申告書を作成し、申告までを4ヶ月以内に行わなければなりませんので、非常にタイトな期限と言えるでしょう。
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