ホーム>相続手続き>相続放棄>相続放棄の流れと必要書類
目次

 

1.相続放棄の手続について

「被相続人の債務を相続したくない」又は「特定の相続人にすべての遺産を相続させたい」など様々な目的で行われる相続放棄ですが、これまでにいくつかのトピックスにて注意点等に触れてきました。

→【相続放棄-借金等がある場合の相続手続き-】

→【相続放棄の注意点|費用・契約事項・管理責任について】

→【二次相続税対策としての相続放棄】

今回は相続放棄をするためにはどんな手続きが必要なのか、またその際に必要な書類について取り上げてみたいと思います。

 

申述先

相続放棄の申述先は家庭裁判所です。

全国どこの家庭裁判所に対して申述していいわけではなく、相続放棄の申述ができる家庭裁判所は被相続人の最後の住所地と決まっています。

もし誤った管轄に申述申立してしまった場合、正しい管轄に送られるのではなく、一度誤った申述申立を取り下げたのち、正しい管轄で再度申立てする必要がありますのでご注意ください。

 

期間

相続放棄をするにあたって注意しなければならないのは、相続放棄には期間制限があることです。

相続放棄は相続開始を知った時から3カ月以内にしなければなりません。

 

2.必要書類

次に相続放棄をするにあたり、必要となる書類を見ていきましょう。

 

①相続放棄申述書

記入すべき事項は形式的なものが多いですが、申述の理由の欄をどのように書くのかが重要な意味を持つことがあり、必要に応じて詳細な事情説明書や資料説明書などを添付する場合もあります。

相続放棄申述書のフォーマットは家庭裁判所のホームページでもダウンロードすることができます。

参考:家庭裁判所ホームページ『相続の放棄の申述書(20歳以上)』

 

②被相続人の住民票除票または戸籍の附票

相続放棄は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申述しなければならないため、そのことを証明するために添付が必要になります。

 

③相続放棄する方の戸籍謄本

戸籍謄本は戸籍がある本籍地の役所でしか取得できません。

住所があっても本籍地が異なる場合は、住所がある役所では戸籍は取得することができませんので注意が必要です。

 

④ 収入印紙(800円)

相続放棄を行う際に必ずかかる費用になります。

 

⑤ 切手(80円を5枚程度)

家庭裁判所から郵便で通知を送る際等に使用するため、郵便切手を提出する必要があります。

各家庭裁判所によって異なりますが、概ね数百円程度です。

 

ここまでが相続放棄の申述をするために必ず必要になる書類になります。

ここからは場合に分けて必要な書類を解説していきます。

 

2-1.配偶者が相続放棄する場合

  • ①~⑤のすべて
  • ⑥被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本

被相続人と配偶者は通常であれば同じ戸籍に載っていますので、③の配偶者の現在戸籍に被相続人の死亡の記載がある場合は①~⑤のみで問題ありません。

 

2-2.子が相続放棄する場合

  • ①~⑥のすべて

子が相続放棄をする際は、配偶者と同じ書類が必要になる他、子が婚姻している場合は子の現在の戸籍謄本が必要となります。

 

2-3.孫が相続放棄をする場合

  • ①~⑥のすべて
  • ⑦被代襲者(子)の死亡記載のある戸籍謄本

孫が相続放棄する状況は、相続人である子が被相続人より先に亡くなっている場合の代襲相続人としての立場が想定されます。

そのため被代襲者(子)が死亡している旨を⑦の戸籍によって報告する必要があります。

 

2-4.被相続人の親(または祖父母)が相続放棄する場合

  • ①~⑤のすべて
  • ⑧被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • ⑨子(および代襲相続人)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • ⑩被相続人の親(父母)の死亡記載のある戸籍謄本(祖父母が相続放棄する場合)

直系卑属が死亡又は相続放棄している場合、第二順位の相続人である被相続人の親(父母)が相続人となります。

言い換えれば、第一順位の相続人である子およびその代襲相続人が存在すれば相続人にはなりません。

つまり、父母が相続放棄をする状況とは、第一順位の相続人が全員いない(亡くなっている)場合となります

したがって、第一順位の相続人がいないことを証明するために、⑨が必要になります。

さらに被相続人の親(父母)も死亡している場合、被相続人の祖父母が相続することになります。

そのため祖父母が相続放棄を行う際は、⑩の戸籍も必要になります。

 

2-5.兄弟姉妹が相続放棄する場合

  • ①~⑤のすべて
  • ⑧被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • ⑨子(および代襲相続人)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • ⑩被相続人の親(父母)の死亡記載のある戸籍謄本

兄弟姉妹、甥姪が相続放棄を行う場合、相続順位が第三順位の相続人ですので、今まで記述した全てのものが必要書類となります。

 

2-6.甥姪が相続放棄する場合

  • ①~⑤のすべて
  • ⑧被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • ⑨子(および代襲相続人)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • ⑩被相続人の親(父母)の死亡記載のある戸籍謄本
  • ⑪兄弟姉妹の死亡の記載のある戸籍謄本

甥姪が相続放棄する状況とは、第三順位の相続人である兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合の代襲相続人の立場であると想定されます。

そのためが⑪の戸籍も必要となります。


 

3.相続放棄申述書の提出後の流れ

相続放棄申述書と必要書類、収入印紙を管轄家庭裁判所に提出すると、家庭裁判所は相続放棄の審査に移っていきます。

ケースにもよりますが、申述書提出から数週間以内に家庭裁判所から照会書と言う書類が送られてきて、その照会書に回答し、返送することにより実際の審査に移る場合もあります。

なお、照会書は必ず回答し返送してください。

また相続放棄が認められなくなるような記載は控えてください。

相続放棄申述書の提出から、早くて3週間程、通常は1ケ月程で受理されます。長い場合でも2カ月程で受理されます。

相続放棄が受理されると、家庭裁判所から通知が送られてきます。

相続放棄と同時に相続放棄受理証明書発行請求書を提出している場合は、相続放棄受理証明書も同様に管轄家庭裁判所から送られてきます

 

4.相続放棄の誤った捉え方

法定相続人は、血族相続人配偶者が存在し、血族相続人は第1順位(子・孫等の直系卑属)、第2順位(親・祖父母等の直系尊属)、第3順位(兄弟姉妹)と順位が決まっており、先順位の相続人が一人もいない場合に限って、後順位の相続人に相続権が帰属します。

一方、配偶者は血族相続人と共に、常に相続人となります。

相続実務のご相談では下記のような家族関係において、

『主人の遺産は私と二人で築いて来たから、子供たちには相続放棄をしてもらえばいいわね。』

といった話を良く耳にします。

 

相続放棄には、

  1. 家庭裁判所に正式に申立てる方法(ここでは正式な相続放棄といいます)
  2. 遺産分割協議書にハンコを押す方法(ここでは事実上の相続放棄といいます)

 

と2種類の方法があります。

実務での遺産分けに良く登場する相続放棄は、2の方です。

 

4-1.相続権は流れてゆく??

 

さて、前述の奥様の発言のとおり、子供達2人に『相続放棄』してもらうとしたら、1と2どちらの方法を選ぶべきでしょうか。

奥様の意図が2の事実上の相続放棄であれば、法定相続人は奥様と子供達ですので、遺産分割協議により奥様が単独で取得することが可能です。

ですがもし上記の家族関係で1の正式な相続放棄の方法を取ってしまうと、妻が遺産の全てを取得出来るのでは無く、法定相続人は妻と故人のご兄弟全員ということになってしまいます

 

第1順位、第2順位等の先順位の法定相続人がいない場合に、第3順位の兄弟姉妹が法定相続人として登場する訳ですが、この先順位の法定相続人がいない場合とは、先順位の法定相続人が相続放棄をした場合も含んでいきます

なぜなら、民法では「相続放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」と規定されているからです。

本来ならば、母と子二人での円満な遺産分割で済む相続関係のはずが、上記の事例ですと、兄弟全員に家庭裁判所に相続放棄を申し立ててもらうか、兄弟全員と遺産分割協議をして同意してもらう必要が出てきますので、余計にややこしい事態を引き起こしてしまいます。

負債がある場合や、親子関係に複雑な亀裂が生じている場合など、手続き上で相続放棄が望ましいこともありますが、どの手続きを選択するかは大局的に判断する必要があり、専門家によるコンサルティングを受けられることをお勧め致します。

 

相続放棄には多くの書類が必要になり、ご自身で用意しようとすると非常に手間のかかる作業になります。

また相続放棄には期間制限があるので、必要書類を集めている間に期間が過ぎてしまったというケースも見受けられます。

当法人では、必要書類の収集から申述の手続まで、経験豊富なスタッフが専門チームでお手伝いさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

 

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