ホーム>相続手続き>不動産の名義変更>住宅ローン完済後に必要な「抵当権抹消」登記とは??
目次

 

「住宅ローンは完済したと聞いていたのに、実家に抵当権が残っていてね…」

「主人が住宅ローンを返済中に急逝してしまって…」

ご家族に相続が発生した相談者の中には、遺産分割のため不動産の登記簿を確認したら「抵当権」が残ったままになっていた、というケースがあります。

今回のトピックスでは、住宅ローン完済後の抵当権に関する取扱いについて取り上げていきます。

 

1.そもそも「抵当権」とは??住宅ローンとの関係性

ご自身で住宅ローンを組んだ人はともかく、不動産についてあまり詳しくない方や、相続で親から不動産を引き継ぐことになった方は、「抵当権」という言葉に馴染みがない事もあるでしょう。

「住宅ローン≒抵当権」と認識している方もいるかもしれませんが違います

不動産を購入する際、手持ち資金で一括購入するケースもあれば、購入する不動産を担保に(場合によって他の不動産と併せて)、ローンを組むケースもあります。

抵当権とは、担保とした不動産の競売代金などから、優先的に債権を回収できる権利のことを指します。

 

また住宅ローンを組む際、担保となった不動産には基本的に「抵当権設定」の登記をします。

なぜ登記する必要があるかと言えば、

『所有権や抵当権といった不動産の権利は、登記をしなければ第三者に対抗(主張)できない』

(第百七十七条|不動産に関する物件の変動の対抗要件 要約)

 

と不動産登記法に定められているからです。

融資をした金融機関の立場からすると、債務者の返済が滞った際に、担保とした不動産を差押えることが出来ないとなると大問題です。

そのため、不動産売買では、売買代金の残金決済時にローン実行され、当日中に法務局で所有権登記と同時に抵当権設定の登記もするのが一般的です

登記事項証明書の抵当権設定の記載

抵当権が設定されても、所有者は担保にした不動産を使用することが出来ます(ローン内容によっては自身の居住用と用途が限られる事もあります)。

ただし、ローンの返済が滞った場合には、金融機関等の抵当権者は担保不動産を競売にかけて売却し、その代金から優先的に債務の弁済を受けることが出来ます。

 

1-1.住宅ローンを完済しても抵当権は自動的に抹消されない

 

ローン実行と同時に抵当権設定されるため、ローンを完済すれば同時に抵当権抹消されると勘違いされる方がいても不思議ではありません。

住宅ローンを完済しても、抵当権が自動的に抹消されることはありません!!

ローンの完済はあくまでも金融機関と債務者の間での話であって、法務局にその情報が連携されることはありません。

そのため、金融機関からローン完済したことを証明する「解除証書」等の書類の発行を受け法務局にて抵当権抹消の登記を行う必要があるのです

抵当権抹消登記を申請し、登記が完了して初めて、土地や建物に設定されていた抵当権が登記簿上から抹消される事となります。

なお、抵当権が抹消されたとうかどうかは、

  • 該当する抵当権設定に関する記載情報部分に「_」が引かれている
  • 権利部(乙区)に、「○○番(該当する抵当権の順位番号)抵当権抹消」と記載された登記事項がある

 

上記2点を登記簿謄本(全部事項証明書)で確認することが出来ます。

抵当権抹消事項

 

1-2.抵当権抹消登記に期限はある??放置するとどうなる??

 

抵当権抹消登記については、今のところ手続きの期限はなく、放置した場合にも過料等の罰則はありません。

ですが、相続登記が義務化された経緯を踏まえると、今後どうなっていくかについて定かではありません。

→相続登記の義務化

また、放置する事で後々余計な手間や費用が掛かる可能性は否定できません。

所有権を取得した経緯が売買であれ相続であれ、将来的に不動産を売却する際には必ず抵当権抹消する必要があります

そのため、ローン完済後は速やかに抵当権抹消登記を済ませることをお勧めいたします。

 

2.抵当権抹消登記の手続概要

一般的な抵当権抹消登記の手続概要は次のとおりです。

 

必要書類

  • 登記申請書
  • 金融機関から発行された解除証書などのローン完済を証する書面
  • 金融機関からの抹消登記用委任状
  • 抵当権設定証書などの登記済権利証または登記識別情報通知
  • 会社法人等番号が分かるもの(法人履歴事項証明書など)
  • 住民票または戸籍の附票(購入時の登記住所と現住所が異なる場合)

金融機関によって、発行される書面は異なりますので注意しましょう。

 

申請先

  • 不動産の所在地を管轄する法務局

不動産が複数ある場合も、所在地の管轄が同じであれば一度に申請出来ます。

共同担保など別管轄がある場合には、管轄毎の申請が必要です。

→管轄のご案内|法務局

 

登録免許税

  • 抵当権抹消の対象となる不動産の数×1,000円

マンションなど敷地権付区分建物の場合、建物の専有部分と敷地の数の合計になります。

 

ここで、相続財産である不動産に抵当権が残っていた場合のパターンをご紹介します。

  1. 住宅ローンの団体信用保険加入者に相続が発生したケース
  2. 生前に住宅ローン完済済みの不動産のケース
  3. ローンの残債がある不動産のケース

それぞれ確認していきましょう。

 

2-1.住宅ローンの団信加入者に相続が発生したケース

 

団信(正式名称:団体信用生命保険)とは、住宅ローン契約者が死亡や高度障害等の理由で住宅ローン返済が出来なくなった場合に、生命保険会社が住宅ローン残高相当の保険金を金融機関に支払い、債務の返済に充てる仕組みの保険です

団信に加入していると、契約者に万が一のことがあっても、家族は住宅ローンの残債返済の心配なく、ひき続き家に住み続けることが出来ます

加入は必須ではありませんが、ほとんどの金融機関が団信加入を融資の要件としており、また未加入でいるリスクも高い為、実際にはほとんどの住宅ローン契約者が団信に加入しています。

そのため、団信加入者に相続が発生した場合、次の流れで手続きを行っていきます。

  1. 金融機関に住宅ローン契約者が死亡したことを連絡
  2. 金融機関に必要書類を提出
  3. 保険会社からの保険金によってローン完済
  4. 金融機関からローン完済書類を受領
  5. 不動産の所有権移転登記および抵当権抹消登記を申請

ここで、登記手続きの際には、「相続登記→抵当権抹消登記」の順に申請する必要があります(申請は連件で一度に行うことが可能)。

これには、登記簿に実際の権利変動を正確に反映しなければならないというルールがあるからです。

団信加入者の死亡(相続の発生)→保険金の支払い→ローン完済→抵当権抹消

 

2-2.生前に住宅ローン完済済みの不動産のケース

 

生前に住宅ローンを完済していたが、抵当権抹消をしないまま亡くなってしまった、というケースです。

この場合、ローン完済時に金融機関から発行された抵当権抹消書類が保管されているかどうかがポイントとなります。

 

<抹消書類が手元にある>

金融機関から当時発行された書類が全て手元にある場合、基本的にその書類をそのまま使用して抵当権抹消手続きをしていきます。

ただし、完済時から時間が経過していると、金融機関の合併・商号変更・本展移転等が発生している事がありますので、その内容に関して「変更を証する書面」の提出を求められる可能性があります。

※ただし、会社法人等番号を申請書に記載していれば「変更を証する書面」の添付は原則省略可能

また、委任状や解除証書等に記載のある法人の代表者と登記申請時の代表者が異なる場合、申請書には現在の代表者の氏名を記載します。

 

<抹消書類を紛失してしまっている>

抹消書類を紛失してしまっている場合、金融機関から書類の再交付を受ける必要があります。

とは言え完済時期から金融機関が合併や商号変更をしている事も多く、その場合はどこに連絡をすればよいのか調べるところから始まります。

また、解除証書等および委任状は金融機関に依頼すれば再発行可能ですが、登記済権利証または登記識別情報通知は再発行が出来ません

その場合、「事前通知制度」という特別な方法によって登記申請をする事になりますが、登記義務者(金融機関)の負担が大きく敬遠される傾向にあります。

個人の方が折衝をするのは現実的に無理がありますので、この場合は司法書士に依頼する方が無難と言えるでしょう。

 

2-3.ローンの残債がある不動産のケース

 

前述のとおり、住宅ローンに関してはほとんどの方が団信に加入しているため、相続が発生するとそのままローン完済の流れへと続きます。

ただし住宅ローン以外の、例えば投資物件などのアパートローンを組んでいて、ローンの残債があるまま相続が発生した場合、マイナス財産としてローン残債も相続の対象となります

この場合、2通りの返済方法が想定されます。

  • 法定相続人全員が法定相続割合で債務を負担し返済
  • 相続人代表者(不動産を相続する人)が債務引受をし返済

 

法律上では1が原則ですが、相続人が複数いる場合、実務上では2の方法で返済していく事が多いです。

金融機関としても、債務引受人が返済能力のある人であれば、請求上の事務手続きを考慮すると、債務引受を承諾しやすい傾向にあります。

債務引受に関する契約を締結した場合、合意内容に従い、抵当権の「債務者変更登記」を行い、その後は新債務者の人が返済を継続していく事になります。

 

3.不動産・登記手続きの相談は司法書士にするのがおすすめ!!

ここまで抵当権抹消手続きについてご紹介してきましたが、特に相続手続きが絡んでくる場合、まずは司法書士に相談することをお勧めします。

<司法書士に相談するメリット>

  • 登記手続きを代理できるのは司法書士か弁護士のみ(但し弁護士は非常に稀)
  • 相続手続き全般について知識がある
  • 相続人・相続財産の確定~登記申請までをすべて依頼できる
  • その後の二次相続対策までコンサルティングしてもらえる
  • 他の士業と比較して不動産の権利関係についての知識が豊富

不動産の所有者であればご自身で登記申請を行うことも可能ではありますが、不動産登記についての知識が無いまま登記申請をした結果、後々大問題に発展したというケースは、業界ではよく耳にする話です。

また、実際の手続きの煩雑さを考慮すると、費用対効果は非常に高いと言えるでしょう。

まずは一度、目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談ください。

 

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